内容証明郵便を出すべきとき

  内容証明郵便解説本に載っている事例でも、必ずしも内容証明にすべき必要はありません。
話し合いで穏便に解決できるならそれに越したことはありません。
が、以下の場合は、必ず内容証明郵便にしましょう。

1.クーリングオフ・契約解除

 クーリングオフに限らず、契約の解除の申し出は、必ず内容証明郵便にしましょう。

 契約を解除したい場合は、相手方に解除の意思を伝えればよいとされてはいます。
世の中の全ての業者が「解約したいんですが?」→「はい、わかりました」という良心的な業者ならよいですが、中には下記事例のようにごねる業者もいます。

  1. 口頭で契約解除を通告した場合
    →後日「いいや、そんなことは聞いてない」
  2. 普通郵便で解除を通告した場合
    →後日「いいや、そんなもの届いていない」
  3. 配達証明+封書で解除を通告した場合
    →後日「確かに封筒だけ届いたが、中身が入ってなかったよ?」
  4. 配達証明+葉書で解除を通告した場合
    →後日「確かに葉書はきたけど、そんなこと書いてなかったよ?葉書はなくしちゃった」

 どの場合も水掛け論になります。
業者からすればなんとでも言えます。
3・4も確かに有効ではありますが、解除の書面をコピーして保管しておいても、「あんたの捏造だろう」と言われる可能性があり万全ではありません。

 そこで
第三者(郵便局)に「こういう内容の手紙を」「いつ相手に出したか」「いつ届いたか」を証明
してもらう必要があります。
こうすれば業者は言い逃れることはできません。
悪質業者に反論の余地を与えてはいけません。

 内容証明郵便が本来持つ「証拠能力」がクーリングオフ・契約解除では十二分に活かされます。
クーリング・オフ、契約解除は必ず内容証明郵便。
今は必要なくともこのことはかならず覚えておきましょう。
思いがけず必要になるときも多いかと思います。

 費用を節約して葉書にしたところ、トラブルに発展したのではかえってお金や時間がかかります。

ポイント 業者が言い訳のできるような解除方法はとるべきではない!

2.時効が迫っているとき

 債権(誰かに○○してもらう権利)は、一定期間放置しておくと消滅してしまいます。
これを時効をいいます。

 例えば誰かから金を借りるとします。
10年間相手が何もしてこなかった場合は、なんとこのお金を返す必要はありません。
商売でいうと売掛金を2年放置しておくと、消滅してしまい、代金の回収は原則できません。
(任意で支払ってくれた場合を除く)
具体的な時効期間は以下の表をご覧ください。

種類(主なもの) 時効期間
飲食店のツケ 1年
売掛金・給料債権 2年
請負代金債権 3年
利息・賃料・商事債権 5年
私人間の債権 10年

 上記の期間が経過すると権利を行使できなくなります。
ただし権利を行使していると認められる一定の行動を取った場合は時効がストップします。

ポイント(一定の行動とは?)  
 訴訟を起こす、支払い督促の申し立て等の裁判上の請求をする、差し押さえ、仮差押、仮処分の裁判手続をとったとき、つまり裁判上の請求。

 これらをしないと時効はどんどん進行することになります。
(*この他にも相手方が債務の承認をしたときにも時効は中断します)
↑こちらの場合が多いと思いますが。

 よく勘違いされがちですが、請求書を送る、電話で催促するといった「裁判外の請求」では、一時的には時効は中断しますが、これらの行為を行ってから6ヶ月以内に裁判上の請求をしない場合には、時効は中断しなかったことになります。
請求書を送って、「もう少し待って」との回答があれば、債務の承認として時効は中断しますが、なしのつぶての場合は、時効がどんどん進行します。

 じゃあ6ヶ月ごとに請求書を送り続けたらよいかというと、いくら請求書を送りつづけても時効は完成します。
請求書を送るたびに、6ヶ月間時効期間が延びると思われがちですが、延びるのは一度きりです。
 時効を中断するには、債務の承認か裁判上の請求をする必要がありますが、時効成立日が目前に迫っている場合は、とりあえず内容証明郵便で6ヶ月延長させておくのが有効です。
(裁判上の請求にはある程度準備期間が必要です)

 内容証明郵便なので、相手方から「そんな手紙受け取っていない」と反論されることはありませんので、問題なく6ヶ月間延長されます。
ここでも内容証明郵便の証拠能力がいかんなく発揮されます。
*コラム・・・もし仮に時効が成立した場合でも、請求してかまいません。
時効で消滅したかどうかは債務者の自由
なので債務者が「払います」と言えば、もらっちゃってもかまいません。
任意で返済されたことになります。

3.債権譲渡をする場合

 債権(わかりやすくここでは金を貸したことにします)は他人に譲ることができます。
例えばAさんがBさんに100万円貸したとします。
Aさんは当然Bさんから100万円を返してもらう権利(債権)を有します。
AさんはCさんになんとこの債権を譲ることができるのです。
これによりCさんはBさんから100万円をもらえることになります。
これを債権譲渡といいます。

 ですがこの債権譲渡は、債権を譲り渡した者(Aさん)から債務者(Bさん)に通知をしなければならないことになっています。
Bさんからすればある日突然、Cさんが来て「今後は私に払うように」と言われても困りますし、
全く関係のないDが出てきて「Aさんから債権譲渡を受けた」と言って、Bさんからお金を騙し取る可能性もあります。

 よって事前に譲渡人から債務者に知らせる必要があるのです。
この債権譲渡にも内容証明郵便が使われます。
(理由は長くなるので省略しますが)

4.相手に誠意がない場合

 相手が誠意ある対応を示さない場合は、遠慮なく内容証明郵便をガツンと突きつけるのがよいかと思います。
(逆に言うと誠意ある場合は、内容証明郵便は出すべきではありません)

 誠意がない場合というのは、人それぞれ感じるところがあるとは思いますが、家賃を何ヶ月も滞納しており、
いくら催告しても払う気配が全くない、野良猫の餌付けを何度注意しても止めないなど、
「全く申し訳ないと思う気持ちがない人」をいうかと思います。

 誠意ある対応を示さない人には、内容証明郵便によるショック療法がよいかもしれません。
また約束を守らない人にも効果的です。
人間社会、迷惑かけるのはお互い様ではありますが、度を越える場合は、それなりの対応を取らざるを得ません。

ポイント 誠意のない相手には内容証明郵便でこちらが本気であることを示す。

5.債権放棄

 これもよく使われます。
取引先が倒産し、売掛金が回収できない場合、そのままにしておくと帳簿上は資産として計上されます。
額が大きいと税務上かなりの損をします。
「債権(売掛金)を放棄します」と相手に通知すれば、その金額は損金処理できます。
この場合は必ず内容証明郵便で行います。
後日税務署から「債権放棄の証拠を見せてください」と言われた際に、「普通郵便で送りました」では認められません。
必ず内容証明郵便にします。

最後に

 これらは必ず内容証明郵便にすべき事例ですが、当然内容証明郵便はこれ以外の事例にも幅広く使えます。
逆に内容証明郵便を出すべきでないときも当然ありますので、それも合わせてご覧ください。
(別項目で取り扱っております。)


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