訪問販売(キャッチ・アポイントメントセールス含む)

 「訪問販売」という言葉を聞いたことがない消費者はいないのではないか、といわれるほど有名な取引方法です。
法律上では、訪問販売はどう定義されているかというと

アイコン訪問販売

 販売業者または役務(サービスのこと)提供事業者が、営業所等以外の場所において指定商品・役務・権利の契約の申込を受け、または契約を締結する取引(特定商取引法2条1項)

とされています。

訪問販売はクーリングオフの対象

 通常、何かものが欲しい、サービスを受けたいと思ったときは、自分から、その店に出向き、よく検討した上で売買契約等の契約を締結します。
 しかし訪問販売は、依頼したわけでもないのに、一方的に業者の方から消費者宅に訪問して、特に今は欲しいと思わないものを勧める、「不意打ち」的な販売方法です。
確かに自分から出向く必要がなく、便利な面もありますが、以下の問題点があります。

  1. 突然来訪され、その場で契約を勧められるので、消費者には十分考える余裕がない。
  2. 相手とは面識がなく、どこの会社の誰であるかの事前情報がない。
  3. 特に欲しいと思っていたものではないため、それに関する事前情報や基礎知識がない。
  4. よって圧倒的知識を有する業者のペースになりがち。さらに通常は1対1なので明らかに不利。

 という問題点があります。
相手のペースに巻き込まれ契約してしまった、よくよく冷静に考えてみると、「やっぱりいらない、失敗した」
ということが多くあります。
 よって訪問販売は、冷静になってもう一度考え直す=クーリングオフの対象となります。
(指定された商品・役務に限る)
クーリングオフは不意打ちに対する救済方法とも言えます。

業者の義務

 訪問販売は不意打ち性の強い販売方法ですから、以下を業者に義務づけています。

  1. まず氏名、業者名、訪問販売を告げること
      (関係のない話から急に商談を切り出してはいけません)
  2. 契約の際は、その内容を明らかにした書面の交付を義務付け
      (法定事項がすべて記載されていること)
  3. 8日間のクーリングオフ制度の義務
      (クーリングオフはできないと契約書に書いても無効)
  4. 不当な勧誘行為や、クーリングオフ妨害の禁止
  5. 消費者が支払いを怠った場合の損害賠償額の制限

なおこれらに違反した場合には、行政による立ち入り調査、指導、業務停止命令がなされます。

実際の問題

 たとえ訪問販売はクーリングオフができるとしても、契約自体が訪問販売に該当しなければ、クーリングオフはできません。

 実際に問題になるのが、訪問販売の要件である「営業所等以外の場所で契約を締結する」ということです。
営業所で締結する契約は、原則訪問販売とはなりません。
では営業所とはどういうものをいうのかと言いますと、

  1. 営業所
  2. 代理店
  3. 露店、屋台店その他これらに類する店
  4. その他、一定の期間にわたり指定商品を陳列し、当該指定商品を販売する場所であって、店舗に類するもの

とされています。
これらに該当するかどうかで大きく取り扱いが違いますので、詳しくみていきたいと思います。

1.営業所とは

 商業登記された本店、支店に限らず、広く営業活動の行われる場所をいう(通達)
商品販売を行う業者の場合であれば、販売商品を陳列した店舗、
サービス提供を行う事業者であれば、サービス提供を行う設備のある場所をいう(英会話教室など)
さらに営業活動をしていると認められる場所である必要がある。
(単なる倉庫は認めない)

2.代理店とは

 代理商が営業活動を行う場所が代理店である。
代理商とは、他の事業者の商品・役務・権利の販売について取引の代理や媒介をする者のことである。

3.露店、屋台店その他これらに類する店

  • 露店・・・路傍等において屋根を設けることなく物品を陳列して販売を行うもの
  • 屋台店・・・持ち運ぶように作った屋根のある台に物品を陳列して販売を行うもの
    ↑簡単にいうと、祭りや縁日でよく見かけるアレである。
  • その他これらに類する店・・・バスやトラックに物品を陳列し、消費者が自由に商品を選択できる状況において販売を行うもの
    (移動パン屋等のことです。松山でいうとロバのパン等。地域限定しすぎですな・・・。)

4.その他、一定の期間にわたり指定商品を陳列し、当該指定商品を販売する場所であって、店舗に類するもの

 通達によると、原則として「最低2、3日以上の期間にわたって」「指定商品を陳列し、消費者が自由に商品を選択できる状況で」「展示場等、販売のための固定的施設を備えている場所で販売を行うもの」とされている。
*いわゆるSF商法はこれに該当しないとされる(SF商法については後で解説)

 つまりこれら1〜4に該当する場所で行われた取引は訪問販売に該当せず、クーリングオフの対象とはなりません。
しかし営業所での取引であっても訪問販売とされるものもあります。

キャッチセールス

 繁華街を歩いていると、男性なら女性、女性なら男性に声をかけられることがあります(たいてい美形・美人)
その後、「少しアンケートに答えてください」と言われたので、営業所等に行ったところ、しばらくは和やかな雰囲気でアンケートに答えていたが、突然数人に囲まれて商品を買うようしつこく迫られ、泣く泣く契約してしまった。
というのが典型例キャッチセールスです。

アポイントメントセールス

目的隠匿型
 「近くで無料の着付け講習があるので来ませんか?」と言われたので会場に出向いたが実際は着物の販売を勧めるものだった。
本来の目的を隠し、消費者を営業所に呼び寄せた上で契約させるもの。

有利条件型
 「貴方は特別に選ばれた。特別価格で提供できるので今すぐ来てほしい」など、特別に著しく有利な条件で契約を締結できる旨を告げ、営業所等に呼び出すもの。

ポイント

 いずれの場合もわざわざ営業所へ消費者を連れて行っています。
ここがポイントです。
営業所での取引は原則、訪問販売には該当しません。
よってクーリングオフもできません。
業者の言い分としては、「貴方が自分で営業所まできたのだから訪問販売ではない、クーリングオフはできない」と主張します。
こう言われると消費者としても「自分で行ったのだから、訪問販売には該当しないな」と思ってしまいます。
これが業者がわざわざ営業所まで連れていくねらいです。

業者の主張は間違い!

 確かに業者にこうやって言われると、たいていの場合は納得してしまいます。
が、間違いです。
キャッチセールスもアポイントメントセールスも立派な訪問販売です。

 訪問販売にクーリングオフを認めているのは、不意打ち的販売方法から消費者を保護することにあります。
キャッチもアポもある日突然声をかけられる、呼びかけられるという点で、なんら訪問販売と変わりがありません。
しかも、目的を偽る等の悪質性からも保護対象とすべきです。
(これらは立派な犯罪行為です。)

 業者の言い分はもっともらしく聞こえますが、くれぐれも業者の言い分を鵜呑みにしないようにしましょう。
(消費者の不知につけこみ、法律を悪用解釈しています。)


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